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ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『kaori』第6回(全8回)
2015-12-28 23:50







画像はイメージです。









小説『kaori』(便宜上、第6回)









 驚いて頭がガンガンする。
「嘘………」
「嘘なもんか」
「あなた、そんなに私のこと好きだったの?」
「好きだったよ。知らなかった?」
 涙が出た。
「うれしい……」
 康徳は改めて私の手を強く握った。そして大きな目で私を見た。
「きっといろいろ苦労をかけると思うんだ。まず離婚しなきゃならないし、子どものことをどうしたらいいかわからないしね……。だけど悪いことばかりは続かないよ」
 その後の康徳の言葉を、私は夢見心地で聞いた。「たしかに君の言うとおり、全面的なハッピーエンドは無理だろうね、当面は。だけど、事情はどんどん変わっていくものだよ。ねえ、僕はこう思うんだ。親と子のつながりは一時的なものだが、男と女のつながりはもっと長い。僕は妻と結婚している境遇で君と出会ってとても悩んだけれど、まだやり直しがきくと思うんだ。………きっと、今度こそベストを尽くせるよ」

 カフェバーをでて、寒い街路をふたりで歩いた。私は幸せで浮き足立っていた。康徳は私の肩をぎゅっと抱いて言った。
「君が好きだよ、香。僕はどうしようもない男だけれど、ベストを尽くすことだけは約束するから嫌いにならないで」
「嫌いになんて、なるもんですか」
 ひとごみの中で強く唇を吸いあった。
「愛してるよ…」
「私も……」
 私はショルダーバッグを肩にかけなおした。そして腕時計を見た。12時12分だった。「じゃあ、今日はこれで」
「うん。タクシーを拾ってあげるよ」
 康徳が拾ってくれたタクシーに乗った。
「新井薬師のほうへお願いします」
と康徳が運転手さんに言ってくれた。
 車が動き出す。私は後ろのガラス窓から康徳に手を振った。彼も大きく手を振っている。
 と、突然康徳の表情が変わった。と思うとハンドルが左に切れたような衝撃があって、耳をつんざくような大きな音がして、私は気を失った。


 気がつくと、もといた街路に立っていた。
「どうなってるのかしら?」
 腕時計を見た。12時12分だ。
 不安になった。康徳はどこ? それにタクシーは?
 私の疑問に答えるようなタイミングで、人の流れの中からある人物があらわれた。
「康…徳……?」
「はじめまして」
ぞっとするような美声だった。その時1台の車が通り、それまで逆光で見えなかったその人の姿をヘッドライトで照らした。










つづく。











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