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ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『kaori』第5回(全8回)
2015-12-26 23:50







画像はイメージです。










小説『kaori』(便宜上、第5回)









「私の友だちのひろ子ちゃん知ってるでしょう?」
「うん」
「彼女がかけおちしちゃったの」
「うん」
「親の決めた婚約者がいたのよ。結納まで済んでいたのに」
「前の彼氏とよりが戻っちゃったとか?」
「ちがうの。前の彼氏とかじゃないの。同じ高校だった人なんだけど、一度もつきあってたことはなかったの」
 ウエイターがさりげなく、彼の前にマルガリータを置いた。このウエイターは慣れている。大勢の客が、聞かれてはまずい話をささやきあうのを見てきたのだろう。無関心をよそおってさっと身を引いてゆく。私は続けた。
「高校時代に彼女がその人に片思いしてるの知ってたわ」
 ああ……。あの頃の記憶がよみがえる。
「でも告白はしなかったの。その人にはつきあってる娘がいるって思い込んでたから。だけどそれは誤解だったってことが最近わかったんですって。劇的でしょう?」
「そうだな」
 康徳も心持ち元気がなくなってきた。話の流れが見えてきたのだろう。
「ふたりは両思いだったのよ。それが、ひろ子ちゃんの結納のあとでわかったんですって」
「偶然再会したのかい?」
「そう。仕事関係でね。びっくりしたそうよ。ひろ子ちゃんは高校を出たあともずっと、他に好きな人ができなくて……」
「その彼を忘れられなかったから?」
「まあね。だけど片思いだからって、パパやママが強気でおし進めた縁談に乗っちゃったところだったのよ。バッドタイミングでしょ?」
「そうだな………だけど」
 康徳が何を言いたいのかはわかっていたけど、私は彼をさえぎって言った。
「婚約者がすごいお金持ちでプライド高くて、和美くんの将来を邪魔してやるって言ってるの。あ、その、ひろ子ちゃんの彼が和美くんっていうんだけど」
 康徳もため息をついた。
「バッドタイミングか……。神様はひどいな」
「ええ。まわりに反対されてるような恋は、全面的なハッピーエンドは無理なんだって、私もよくわかったわ。あちらを立てればこちらが立たず…ってわけなのよ」
「香……」
 康徳は私の手をとり、強く握りしめた。
「香、僕はどうしようもない男だけど、許してくれるかい?」
「え、どういうこと?」
「結婚しよう、香」










つづく。











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