FC2ブログ

ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『kaori』第3回(全8回)
2015-12-19 23:50







画像はイメージです。











小説『kaori』(便宜上、第3回)









「わかりました」
 2秒ほど立ち止まっていてからソファに腰かけた。
「ひろ子さんのことを探しても無駄だと思いますわ」
「どうして?」
「彼女はあなたとは結婚しないつもりですもの」
 彼は足を組み、眼鏡の縁にさわった。「今になって、急にですか?」
「急じゃありません」
「では何です?」

「ひろ子さんには、以前から好きな人がいたんです」
 彼は少し目を伏せて微笑した。まるでそんなことはわかっていたとでも言うように。「誰です?」
 単刀直入すぎてぶしつけだ。
 きっとこの人にとっては、彼女が誰を好きかなどということはどうでもいいのだわ。「…………」
「私は彼女の婚約者だ。知る権利がある」
 隠しごとは苦手だ。嘘をついたり何かを隠したりするのは、それが結果として誰かを守ることになるときだけ、ということにしている。
 今は、隠すことが彼女にとってよい結果になるとも思えない。
「そうですわね……」
 彼はさきほどよりも微笑を拡大して、うなずいた。西洋的な顔立ちのハンサムだけれど、この目尻のしわは嫌味だわ。
「今岡和美くんというんですの。高校の時の同級生でした」
「なるほど。で、今は何をしている人ですか?」
「アルバイトを……。歌手をめざしているんです」
 彼がにやりと笑ったので、私は腹がたった。
「和美君はあなたが想像しているよりずっと強い人よ。なんて言うか、明るくて……」
「それで相思相愛ですか?」
「……ええ、そうよ」
 山之内は、6秒ほど黙っていてから口を開いた。
「なるほど。そうですか」
 彼は立ち上がって、平静そうに歩き、私のアパートのドアからでた。そしてふりかえって言った。
「私には、今岡くんとやらの将来を邪魔する力がある。これからのことが楽しみですね。お話をどうもありがとう。お邪魔しました」
 山之内は帰っていった。
 わたってはいたものの………。頭が痛い。
 ソファに倒れるように腰掛ける。思わず大きなため息がでる。










つづく。











スポンサーサイト




トラックバックURL
http://hitokaramania.blog.fc2.com/tb.php/3299-b59081ab
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する