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ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『彼女はスリーピング・ビューティー』第7回(全9回)
2015-10-06 20:48







画像はイメージです。









小説『彼女はスリーピング・ビューティー』(便宜上、第7回)









「ほんとですか? すごおい」
 双葉は本当にうれしそうに身を乗り出した。
「うん、あるかもしれないー。豊田さんて、コックさんだったんですねー」
「いやあ、普段はウイエターだったんだ。手が足りないときに、ちょっとだけキッチンヘルプもね。だから、ピザはともかく、ウエイターとして君に接客した可能性はかなり高いよ」
 2人はシーフードピザと、コンビネーションサラダと、それから豊田の好みでミネストローネスープを取ることにした。
「ミネストローネスープっておいしいですねー。私、このお店に何度も来たことがあったのに、これは飲んだことがありませんでした」
という双葉の発言は、豊田を大変喜ばせた。

 2人は1時間半ほどもその店にいただろうか。
 店を出るころ、酒に慣れない双葉は足取りもおぼつかなかった。
「大丈夫? タクシーに乗れるかな?」
「あだいじょうぶですぅ。足はふらふらしてますけど、頭ははっきりしてますから」
「そう?」
 豊田はタクシーをつかまえようとしたが、なかなかつかまらなかった。
 双葉は、ガードレールの支柱にちょこんと座って待っていたが、そのうちに寒さに震え出した。気づいた豊田は双葉の前にかがみこんで彼女の手を取った。
「大丈夫かい? かわいそうにこんなに震えて。ごめんね」
 双葉は、寒かったけれどにっこり笑ってみせた。そして、歯の根もあわないくらい震えているのに、
「だいじょぶですぅ」
と言った。
 豊田は、思わず双葉を抱きしめた。
「双葉ちゃん……」
 彼は、彼女の髪に頭をうずめなから告白した。
「好きだよ……これからも逢ってくれる?」
(えーっ!♪)
 双葉の頭は、一瞬ハッキリした。
 そして心臓が早鐘のように打ち始めたのだが……。
 声も出ない双葉。唇を真一文字に結び、目をぱっちり見ひらいて、こくんとうなずいた。
 豊田は抱きしめていた腕をほどき、両手で双葉の頬を包んだ。そして、自分の唇を彼女の唇に、おそるおそる近づけていった。
 ところが。
 2人の唇があと1ミリというところまで近づいたとき、あろうことか双葉の全身から力が抜けてぐにゃりとなってしまったのである!










つづく。











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