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ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『彼女はスリーピング・ビューティー』第4回(全9回)
2015-09-27 20:45







画像はイメージです。









小説『彼女はスリーピング・ビューティー』(便宜上、第4回)









 BGMがなくなり、双葉は、すこし現実に引きもどされたような気がしたのだった。

 翌日の午前中にお坊さんが来て、告別式が行われた。
 昨日とほとんど同じメンバーが集まっていた。双葉が彼らにむかって、喪主としての簡単なあいさつをしている間に、葬儀屋の手によって祭壇がかたづけられた。
 そのあと双葉は棺といっしょに焼却場へ行き、祖母を見送った。祖母が骨壷におさまって双葉の手に抱かれたとき、まだ夕方にもなっておらず、空は晴れていた。
 骨壷の入った箱を抱きしめると、双葉の目に、ジワッと涙があふれてきた。
 その日は、双葉はひさしぶりに、はやばやと床につくことができた。
 告別式は土曜日だったので、1日おいて、双葉は出勤した。
「意外と元気そうね」
「蕗山さん。ご心配をおかけしました」
 双葉は、”てきぱき”を心がけて仕事をした。私生活の忙しさが軽減されたので、もう眠くなかった。

とはいうものの、1日休んだ分の仕事がたまっていたので、やはり残業になった。でも双葉はめげなかった。
(今までトロかった分をとりかえして、明日から”てきぱき”をめざすんだもんね)
と思って仕事をこなした。
 やっと仕事を終えると、8時近くになっていた。
「双葉ちゃん! お疲れ様」
 豊田だった。
「まあっ。豊田さんもまだお仕事だったんですか?」
「うん、いま営業から帰ってきたとこ」
「おつかれさまでした」
「君は、もう仕事おわった?」
「はい。いま」
「じゃあ、夕ご飯つきあってくれない?」
「えっ……私がですか?」
「うん。イタリア料理は嫌いかな?」
「いえ、大好きです」
 双葉は赤くなった。「好きです」という言葉を、イタリア料理に対して言ったのか、豊田に対して言ったのか、混乱したからだ。
「じゃあ、よかったら」
「は、はい、よろこんで……」
「よし決まり。双葉ちゃん着替えるでしょ? 僕はそのあいだに営業の報告書を書いちゃうから、ゆっくり支度してきてね」
「はい、じゃ、きがえてきます」
 双葉はドキドキしながら、はや歩きで更衣室へ向かった。
 ほかの部署の女子社員はほとんどみな帰宅した後なので、双葉は更衣室の電気のスイッチをつけてからドアをしめた。










つづく。











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