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ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『アンガージュマンの入口』第25回
2015-05-20 19:40







画像はイメージです。









小説『アンガージュマンの入口』(便宜上、第25回)









 上りきれたところで、そのあと、電車に乗って帰るなんて、できるのかしら?!
 ……。
 気合いを入れて、もう一歩上る。
 また襲われる。
 深呼吸して体制を整える。
 こんなことやってたら目立つわよね。
 日曜の夜で人が少なくてよかったけど。
 下から上ってきた男の人が、こっちをチラっと見て追い越して行った。
 誰もあたしに声はかけない。
 もしブッ倒れちゃったら、そのときは、きっと何とかしてくれるんだろう。
 もう一歩上る。
 気分の悪さが、間断なくなってきた。
 どうしよう。
 救急車、呼んでもらったほうがいいかな。
 でもそんなに大げさにしちゃっていいのかな!?
 ………。
 この階段さえ上りきれば、あとは……上野駅の乗り換えは、下り階段だけですむ。
 迷いながら、惰性(まだそんなものがあったのだ!)でもう一歩上る。
 きもちわるい。
 休んで、もう一段、休んで、一段、休んで、一段……。
 とうとう上りきった。
 手すりを放してひとりで立ったとたんにクラクラする。
 これは、やっぱり、貧血だ。
 座りたい。でもベンチがない。
 早く電車来てよ。
 でないと死んじゃう……大げさだな……死……今日はまったく、そればっかりだ……。
 …あたし!
 もしかして、すごい病気なのかもしれない。
 死ぬような。
 白血病とか……まさか。
 電車が来た。
 やっとの思いで乗る。
 ガラガラに空いてる。うれしいな。
 隅のシートに、そっと座る。
 ドアが閉まって、動き出す。
 ……。
 このくらいの振動なら、なんとか大丈夫だ。
 ----っ。
 人の命なんてはかないもんだよ。
 と、思うのも久しぶりだな。
 おかあさんが死んだとき、3ヶ月くらい、そういう思いにとりつかれてた。
 だって簡単に死んじゃったから。
 あたしだって明日にでも死ぬかもしれないんだって、つくづく思った。










つづく。










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