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ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『アンガージュマンの入口』第17回
2015-04-24 20:13







画像はイメージです。









小説『アンガージュマンの入口』(便宜上、第17回)





 悲しみに耐えるみたいに、眉のあいだにたてじわ寄せて、……彼にじっと見つめられたらどんな女の子もおちるといわれるあの不思議な大きな両目から涙をあふれさせたまま、必死に唄ってるの。
 最後に、自分を見つめる視線(夢を見てるあたしのカメラ・アングルのことよ)に気づいた彼は、真正面からこっちを見据えて、
(あ・ゆ・み)
っていう形に唇を動かした。
 そこで目が覚めた。
 感動してドキドキしてた。
 あゆみっていうのはあたしの名前だ。コウはニックネーム。「行」って書くから。
 ノボルさんがあたしの名前を呼ぶなんて。
 うれしい。
 でもそれよりも不安だ。
 何かあったんじゃないかしら?
 シックスティーズの誰かが、事故に逢って瀕死の重傷だとか。
 まさかノボルさん自身が。
 もしメンバーのひとりが死んじゃったらどうなるんだろう?
 多分、代わりに新しい人が入って、死んじゃったほうの人はだんだん忘れられて、またハッピーなステージが見られるようになるんだろうな。
 長期的にはね。
 でも、直後は?
 そーゆーのヤだけど、みんなで泣くしかないよね。
 追悼ライブか何かやって。
 考えただけで胸がヒリヒリするわ。
 でも、辛くても、そういう場面には立ち会っていたい。
 ノボルさんが直面する悲しみに、あたしもいっしょに直面したいの。
 大事な人なんだ。
 個人的には、今年の3月に初めて握手してもらって、
「次のお仕事がんばってください♡」
「ありがとう」
っていう会話を交わしただけの仲なんだけど。
 そのずっと前、ヒデちゃんに初めて告白して振られてズドーンと落ちこんで、生きてるのがめんどくさくなったんだけど、
(この次のシックスティーズのライブまでは、なんにも考えないでとにかく生きていよう)
って思い続けてた時期があったのよね。
 ライブハウスに出かけて行って声援を送れば、ノボルさんは必ず、手を振ったりにっこり笑ったりして応えてくれるから、何ていうか……心理学用語でいう代償行動って奴だね。
 ライブに行けば、元気になれる。
 シックスティーズが存在しなかったらあたしは死んでました、とは言わないよ。










つづく。











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