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ヒトカラマニア

…ですが、今は体のメンテナンスの優先順位が高くなってしまい、あまりヒトカラに行けてません/(^o^)\

小説『アンガージュマンの入口』第3回
2015-03-13 23:50







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小説『アンガージュマンの入口』(便宜上、第3回)




 おっと。
 列は確かに、この2時間くらいでずいぶん長くなったよね。野外音楽堂の丸いかたちに沿って曲がってるから、どこまで人がいるのかもう見えない。
 けどねー。どうしようかな。
 割り込み行為ってキライなのよね。
 普段、学生食堂のカウンターで順番待ちしてるとサークルの子なんかがやって来て、
「俺のも買ってよ」
って言ってあたしに食券を渡すことがある。そういう時って、あたしの後ろに並んでる人がムッとしてるんじゃないかと思いつつ、
「うん、いいよ」
って引き受けるんだけど、内心おだやかでないので、自分では絶対人に頼まない。
 だけどまあ、ライブの時は、連む友だちがいれば席とっといてあげるのなんて普通だし、この人のこと、本当に友だちだと思っちゃえばいいんだわ。
 断ったら、恐いお姉さんかもしれないし。
「いいですよ」
「よかったあ」
 ワンピースの女の人は、お礼にって、タコ焼きをおごってくれた。
「あなたがレインコートを持ってなければ、レインコートを買ってあげようと思ったんだけど」
 彼女もあのちゃっちいコートを買ったのだ。
「あたしは10時くらいから来てましたからね」
「早いのね。まったく、野音は傘さすの禁止だってわかってれば、400円の散財はなかったのにね」
「え?! 500円じゃありませんでした?」
 ワンピースの女の人はにっこり笑った。
「当然、まけさせたのよ」
 うわあ。
 尊敬。
 遅く来ていい席を取る方法にしてもそうだし、この人っていろんな”手”を持ってる!

 12時半を過ぎて、やっと開場になった。
 入り口で、簡単なカメラ&カセット・チェックがあった。持ってないって!
 二人で走って行って、前から2つめのブロックの最前列に席を取る。ステージに向かって真正面からすこし左の位置だ。
 やったね。
 見ると、もっと前の方に、知ってる顔が何人かいる。
「わあー、あの娘たち、気合い入ってる」
「知り合い?」
「いつもライブハウスで見かけるんです。口をきいたことはないけど」
「ふうん。誰のライブ?」
 思わずにっこり。
「シックスティーズです……」
 こういうのって、女友だちを相手に好きな男の子の話をしてるみたいで、照れるんだよね。シックスティーズはチェッカーズみたいに有名なバンドじゃないから。
「あなたはどのバンドを聴きに来られたんですか?」
「うん、あたしは別に……。まあ、話の種にと思って。ロックのコンサート自体、ほとんど初めてなのよ。この年で」
「この年って……」
「いくつに見える?」
「25、6……」
「ふふ、実は32よ」
 うそー! とても30代には見えない。敬語でしゃべってて良かった。
「あなたは? 16歳くらい?」
 あ、やっぱりね。
「いえ、19です。大学生」
「あ、そうなの。まあ」
 あたしたちの間には、”年よりも若く見える”という共通項があったのだ!

 雨は、激しくなったり小やみになったりしながら降り続いた。










つづく。











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